ゆるキャン△? 本当のキャンプはもっと殺伐としているぞ

2018年冬アニメは、粒ぞろいでしたね。ヴァイオレット・エヴァーガーデン、宇宙よりも遠い場所、そしてなんといっても、日常系キャンプアニメの決定版、ゆるキャン△でしょう。とても良い出来て、私もついついキャンプに行きたくなってしまいました。


でもちょっと思ったのですが、これってちょっと危険じゃないですかね? 私はこう見えて平均よりは多いキャンプ経験を持っています。その私からみると、ゆるキャンはキャンプの最も美しい上澄みの部分だけを抽出したようにみえる。私の知っているキャンプとは全然違う。そこの所を勘違いした方が、キャンプに行くと幻滅してしまうのではなかろうか。ゆるキャンでは、キャンプそのものが何かキラキラした素敵な体験であるかのように描かれていました。私は、キャンプの本質はキラキラした部分では無いと考えています。私のキャンプでの実話を紹介しつつ、キャンプとはなんであるかを、考えてみたい。


雨キャンプ

ゆるキャンで特に現実と乖離していると感じたのは、雨のキャンプシーンが皆無な点です。雨キャンプ無しでキャンプは語れません。ゆるキャンのアニメはもちろん、原作も読みましたが雨キャンプは無し。アニメのエンディングで雨の日のシーンが出てくるので、雨キャンプやるのかと期待していたのですが、結局本編では出てきませんでした。


雨はきっついですよ。本当にきっつい。行動が制限されるし、濡れるし、薪はしけってしまうしとにかくきっつい。私はこんな経験があります。なんか滝みたいな雨が降っている日にキャンプをしていました。地面がぐちゃぐちゃのべろべろで歩くとくるぶしぐらいまで泥に埋まってしまうし、雨が凄すぎて水場まで行けず雨水で鍋を洗ったりしてました。なんとかかんとか寝袋に潜り込んで寝てたら、なんだか冷たい感触が……。気づいたらテントの中まで浸水して水浸しでした。寝袋はビチョビチョだし、水位は1cmぐらいあるしで、寝れる状況ではない。仕方がないのでザックの上に座りながら朝まで耐えました。朝になったら雨が止んでくれたので良かったものの、あの日は死ぬかと思った。今思うとどこかに避難した方がよかったかもしれませんね。


虫の襲来

虫は要注意です。ゆるキャンの劇中では冬なので虫は登場しませんが、普通のキャンプでは虫は絶対に登場してくる。しかも時々ビッグウェーブが来ることすらある。私すごいウェーブを経験した事があるのです。未だになんであんな惨状になったのか意味不明です。小雨が降っている中で、私達はタープ(日よけ、雨よけの布)を張っていたので雨宿りに来たのかもしれません。虫が来たのです。ぶわーって虫が。羽虫的なちっこい奴が2億匹ぐらいきました。本当に2億匹ぐらい来た。一瞬ですべてが羽虫に占拠されました。テーブル、椅子、クーラーボックス、鍋、etc あらゆる物に虫が取り付いて1cmぐらいの黒い虫の層が出来ました。どさくさに紛れて羽虫以外にもモスラみたいな蛾まで混じっていて凄まじい光景。料理をしようにも鍋は虫さんの住居になっているので料理出来ない。椅子は虫さんが使っているので座れない。その日の夕飯は、たまたま手に持っていたチョコチップのスティックパンを立ったまま食べて飢えを凌ぎました。虫怖い。


トイレが無い

トイレの問題もありますね。普通キャンプ場には、トイレが付いているでしょうから問題ありません。しかしキャンプとは整備されたキャンプ場で行うとは限らないのです。私もただの原っぱでキャンプをした事があります。無論トイレは無し。必然的に、野◯ソであります。野グ◯というのは一種の背徳的な行為でありますので、私の仲間内では「野◯ソ行ってくる」などと宣言する事はマナー違反とされていました。野グ◯に行く人は、無言でスコップとトイレットペーパーを手に取り、堂々と藪に入って行く事こそ正しい作法でした。周りは「お、コイツ野◯ソに行くのか」と暖かく無言で送り出します。その際にどの方角の藪に入って行ったのかに注意しておく必要があります。自分が野グ◯に行く際に、同じスポットで野◯ソをしてしまうという悲劇を避けるためにも、先人とは違う角度で藪に入る必要があるためです。これは一種の生活の知恵と言って良いでしょう。


キャンプは野外でやるもの

結構ご存知ない方も多いかと思うのですが、キャンプって野外なんですよ。クーラーとか無いのです。高知の四万十川をボートで川下りしながらキャンプした時、くっそ暑くて。いや夏なんだからそりゃ暑いのは当然なんですが、あの時あの場所は常軌を逸していた。10日ぐらいキャンプ泊したのですが、10日間全部晴れ。平均気温が37度ぐらいあった気がする。あっついから服を来たまま、川にバシャーンと入るのですが、川から上がるとあまりの日差しと暑さで5分ぐらいで服がカラッカラに乾いてしまうのです。どうなってんだ高知は、修羅の国過ぎる。でも野外なので逃げ場はない。そんな環境に10日も居たのでキャンプが終わった後は2週間ぐらいは、黒人に人種変更していました。


キャンプ飯

ゆるキャンでは美味しいキャンプ飯がたくさん出てきますが、全部が全部あんなんじゃないですよ。ゆるキャンの1話に夕飯にカレー味のカップラーメンを食べるシーンがありますが、アレはリアリティ良しです。南アルプスの北岳(日本で二番目に高い山)にテント泊で登った時の話です。テントから食べ物まで全部リュックに入れて持っていくので、限界まで軽くしないといけません。ですから余計なものは持っていくことが出来ず、主食はチキンラーメンと魚肉ソーセージでした。世界一インスタ映えのしない夕食です。でも確かなのは、あの時のチキンラーメンは人生で一番うまいチキンラーメンだったということ。20kgオーバーの荷物を背負って一日中登山した後の食事なんでそらそうです。なんでもうまい。


キャンプとは

とまあキャンプとは、概ねこんな感じなのです。もちろん、100人いたら100通りのキャンプがあるでしょうが、本質は変わらないと信じます。私にも焚き火を囲んで仲間と語り合ったとか、夜空が死ぬほど綺麗だったとかのキラキラ系思い出もあります。しかしそれらは私の中で完全に脇役なのです。私の中で大きなウエイトを占めているのは、つらかったキャンプの思い出です。


こんなにつらいならホテルに泊ればよかった、なんなら家から一歩も出なければよかった。なのになぜ人はキャンプに行くのか? それは、キラキラな体験をするためなんかではなく、水没して、虫に襲われて、野グ◯して、焦げて、チキンラーメンを食べに行くためです。そして家に帰って来て自宅の素晴らしさを再確認するのです。「この家水没しないんだ。すごい」「トイレに行くのにスコップ持たなくていいんだ」ありふれた日常がどれほど素晴らしいものであるかに気づくでしょう。さあ、キャンプに出かけましょう。注意点は、スコップとトイレットペーパーを忘れずに持って行く事、そして水没したらすぐに避難すること。死なない程度に楽しみましょう。Have a nive camp!!


f:id:notwen:20180430041630p:plain (TVアニメ「ゆるキャン 」公式サイトより)