はやぶさはきっちり燃え尽きました

まずは7年間の長きにわたりはやぶさを支え気合いで地球に返したJAXAのみなさんお疲れ様でした。はやぶさは人類の宇宙開発史のなかでも伝説に残るミッションになったと思います。それにしても、なぜはやぶさは、こうもはやぶさなんでしょうね。どうしてこうも人を引きつけるのか?だって、私がH-IIBの成功で世界と肩を並べる打ち上げ能力を得たこと、HTVは有人飛行すら視野に入れた設計であることを語っても( ´_ゝ`)「フーン」としか反応しなかった人が、はやぶさの事を感動したとか言って嬉々として語ってますよ。何この扱いの差は。それははやぶさにドラマがあるからに違いない。人々は劇的なドラマが大好物。度重なるトラブルを愛と勇気で克服していく様子に魅せられる。

ただ、宇宙開発大好きの私から言わせてもらえば、はやぶさは実に危うかったという感想です。なんとかうまく帰ってこれたから盛り上がったものの綱渡り過ぎる、心臓に悪い。大体壊れすぎ。もちろん設計寿命を超えての運用とか、いとかわに不時着したとか同情の余地はありますが、4基あったイオンエンジンは3基が壊れ、3個あるリアクションホイールは2個壊れて、ヒドラジンが漏れて化学スラスタ全損など満身創痍。特に姿勢制御の肝と言えるリアクションホイールのやる気のなさには異常。
宇宙開発の失敗は恐怖ですよ、ただただ恐怖でしかない。失敗は予算削減の理由にされるし、なにより宇宙開発が停滞してしまう。例えばH-IIロケット5号機と8号機の連続失敗は目の前が真っ暗になりました。7号機をキャンセルしてのぞんだHII-Aの発射成功は泣きそうになりました。あれが失敗していたら本当に日本の宇宙開発が終わっていたかもしれません。コロンビアの事故の時も落ち込んだ。ああこれで何年間シャトルが飛ばなくなってしまうのだろう。火星探査機のぞみは火星の軌道投入に失敗、火星の約1,000km上空を通過しました。
有名にならなくてもいい、伝説とよばれなくてもいい、ただ元気に育って欲しい。今はやぶさの基本システムを踏襲した妹とも言うべきあかつきが金星に向けて航海を続けています。どうか、彼女の航海が平穏無事でありますように。

はやぶさ最後の写真