ゲームに対して真摯に向き合っているのか

最近私、Diablo3というゲームをやっております。PC版が7年ぐらい前にリリースされた古めのゲームなので、ずっと気になっていて横目ではうかがっていたのですが、なんとなくプレイしないで来てしまっていた。それがなんと2018年12月にNintendo Switch版がリリースされまして「これは行っとくか」とDiablo3デビューしちゃいました。Diablo3は、いわゆるハック&スラッシュ系のゲームです。


ダンジョンに潜る

強力な装備を入手する / レベルを上げる

より難易度の高いダンジョンに潜る

強力な装備を入手する / レベルを上げる

より難易度の高いダンジョンに……

これを一生続けるゲームです。ストイックに己を磨き続けるのです。一応ストーリーモードもあるにはあるのですが、完全におまけ扱い。Diablo界隈ではストーリーモードは、ちょっと長めのチュートリアルとして認識されています。ストーリーが終わってから、ひたすらダンジョンに潜り続けるのことこそメインコンテンツ。


f:id:notwen:20190418231135j:plain (Blizzard Entertainment:Diablo IIIより)


Diabloを語りたい

Diablo3は見た目が陰鬱な雰囲気だし、そもそも洋ゲーだしとある程度の取っ付きにくさは覚悟していたのですが、そんな事まったくなかったです。序盤は適当にやっていても、どうとでもなってサクサク進んで楽しー。そのうち適当だとクリア出来なくなってきて、それではと装備を見直したり、スキルのコンボを考えたりして突破出来るようになると楽しー。プレーヤーが成長していくための導線がちゃんと用意されている印象。よく出来たゲームです。一時期、自由な時間は全てDiablo3のプレイに費やし、さらに睡眠時間を削ってプレイして、健康被害が出るレベルで猿のようにプレイし続けてた。こいつはヤバイ。


洋ゲーって私は大好物なのですが、現実世界で同じ洋ゲーをやっている人に遭遇する事はほぼ皆無です。やっぱりプレイ人口が少ないんですかね? ああ、私はDiablo3ついて熱く語りたいのに。そんな厳しい環境に置かれている洋ゲーなのですが、なんとこの前 Diablo3 をプレイしている人を現実世界で見かけました! マジですか。やっぱ Nintendo Switch はすごいなー、いっきに間口が広くなる。そこで私は、興奮を抑えきれずこんな質問をしました。


グレーターリフト何レベルまでいけました?

ここでちょっと説明をさせてください。グレーターリフトとは、さっきから出てきているダンジョンの名前です。難易度がレベル1~レベル150まで用意されています。レベル150は、現状の調整ではチートを使わない限りクリア不可能と言われています。到達不可能な極限であるレベル150に一歩でも近づくためにプレーヤーは努力するのです。Diablo3はシーズン制というものを導入していて、シーズン開始時にキャラクターのレベル1、装備全くなしの状態で全世界のプレーヤーが用意ドンでスタートし、数カ月後のシーズン終了時にどれだけレベル150に近づけたかを競います。今はシーズン16が開催中で、2019/1/19~2019/5/12まで開催される予定。キャラクターの職業によっても変わってくるのですが、大体トップレベルの人がレベル120オーバーぐらい、一通り装備を整えればレベル70~80には簡単に到達出来ます。ヒエラルキー表にまとめるとこんな感じ↓


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先程の「グレーターリフト何レベルまでいけました?」という質問は、「あなたはこのヒエラルキーのどこに属していますか?」という事を問うているのです。さてさて、一体何レベルまで行ったんでしょうね? レベル80ぐらいの新人プレーヤーなのでしょうか、それとも120オーバーの猛者だったり?ちなみに私はレベル111までクリア。頑張ってはいるけれど、まだまだ努力が足りない位置にいます。


今レベル30ぐらいですねー。もうこれ以上全然クリア出来なくて。無理っぽいですねー。

驚愕の返答内容。私これを聞いた瞬間、頭に血が上っちゃいまして。どうしても自分を抑えられなかった。


え? レベル30で詰まっているって言いました? 常識的に考えてそれはありえないんじゃ。なんでもっと真面目にやらないんですか?


怒りの源はなんなのか

あああああああ、なんて私はバカな事を言ってしまったんだろう。他の人のゲームの進捗状況にキレて、もっと真面目にやれとなじるとかありえないでしょ。ゲームの楽しみ方は人それぞれ、私が口出しするたぐいのものではないのです。


非常識にも程がある。二度とこんな暴言は吐いてはならない。再発防止のため、どうしてこんな暴言を吐いてしまったかを、自己分析してみたい。まず返答があまりに想定外でした。さっきのヒエラルキー表の下限をレベル70にしていたのからもわかると思いますが、私の中でレベル30とか存在すら忘れているレベルなのです。普通にやっていれば、レベル30なんて瞬間的にクリアして、楽々レベル70には到達可能なはず。それなのにレベル30しかクリア出来ないという事は、ゲームに対して真摯に向き合わず、テキトーに、チャランポランにプレイしていたという事です。私はそのゲームへの姿勢が我慢ならなかった。どうしても看過できない。なぜ「ゲームに対して真摯に向き合わない」事に対して、これ程の強い怒りを覚えるのだろう? この感情の源をたどってみると、大学時代のある事件に行き着きました。


空前の大貧民ブーム(私の周辺に限る)

大学の頃、なんだかわからないのですが、仲間内でトランプの大貧民が死ぬほど流行っている時期がありました。毎日、毎日、本当に猿のようにプレイしていてた。そこまでやり込むと全員の練度がものすごく上がってくるんです。例えば全てのカードの内で何が何枚切られたかなんて、当然のように全員が記憶していました。ただ私はあまり記憶力が良い方ではないので、2が何枚残っているかなどは覚えられたのですが、マークまでは無理だった。その点、内田の記憶力は抜群でしたね。私がビリになった時などに


残っているの、スペードのキングと、ハートとダイヤの6が2枚でしょwww

とかドヤ顔で言われてイラッとしたのを覚えています。黙れ。


大貧民は情報がとにかく重要なので、あの手この手で情報収集してました。「あいつは右から強いカード順にならべる癖がある。今右から3番目から抜いて出したカードがエースだった。だから残りの2枚は、2のペア?」「場のキング2枚に対して一瞬出すかどうか迷ったな。じゃあ1か2のペアを持っているに違いない」などなど、相手の些細な挙動から何を持っているのか推測するのです。ただこの辺の「読み」は、熟練者を相手にした場合、ブラフの場合があるので注意が必要です。例えば、安藤とか出せるカードを持ってなくても、出すかどうか迷う振りをするという空モーションを多用していました。毎回、必ず空モーション入れてくるので、ウザいったらない。もう分かったからやめれ。


そうそう、「ロープ」って奴も居ました。久保田の事なんですが、とにかくしばりが大好き過ぎて、プレイを曲げてまでしばりをするので、あだ名がロープになってた。懐かしい。こう思い起こしてみると、個性的で愉快なメンバーばかりでしたね。


私の人生でこれ程、大貧民に真摯に向き合い、ただただ大貧民に集中した時期はありませんでした。今後の人生で、大貧民を死ぬほどやるなんて、ちょっと考えられませんので、あの大学生のあの時こそ私の大貧民のピークであったと言えるでしょう。事件は、そんな大貧民の絶頂期に起こったのです。


君はじつにしょーもないね

細かい経緯は忘れてしまったのですが、いつも大貧民をやっているメンバーではない須崎という奴を入れて大貧民をやる事になりました。須崎に関して、存在を知っている程度でよく知らなかった。しょーもない奴だという事は、なんとなく知っていた。後になって分かった事ではありますが、実際に須崎はしょーもない奴だった。


そんなわけで大貧民が始まりました。参加者は、私、しょーもない須崎、空モーションの安藤、ロープの4人。そのゲームですが、始まって早々に荒れに荒れました。しょーもない須崎が序盤からキング、エース、2なんかの強いカードをバンバン通して来たのです。場に「ざわ…ざわ…ざわ…」という擬音が見えた気がした。これはあれですよ、しょーもない須崎の野郎、絶対に革命起こす気だ。我々はカードが配られた瞬間に、このカードでどうやって勝ちに持ってゆくかのプランを必ず練ります。その当初のプランはすべて捨てて、革命が発生する前提で戦略を大幅に変更する必要がありそうです。そんな不穏な空気で始まったゲームだったのですが、特に何も発生しないで終わった。革命も起きなかった。しょーもない須崎は、ぶっちぎりのビリだった。


「はあああああぁ?????」
「いやいやいやいや!!」
「ありえんでしょー!?」


とか口々にシャウトしながら、私達はしょーもない須崎に詰め寄りました。しょーもない須崎が最後まで残していたカードは、3やら5やらのゴミカードばかり、ペアにすらなっていないので革命なんて起こしようもない。しょーもない須崎は、大貧民の初心者というわけではなく最初からルールを一通り知っていました。つまり、しょーもない須崎は、ルールを把握した上で、なーんにも考えず、ただ強いカードから順に出していただけだったのです! そんな、まさか。そんな事って……もっと真面目にやってよ! 何も私は、切られたカードを全部覚えろとか、空モーションを混ぜろとか言っているわけではないのです。弱いカードを先に出し、強いカードを温存し、勝つために最低限の努力をして欲しいと主張しているのです。私は、これが過大な要求だとは思わない。


これは、大貧民という遊戯に対する冒涜行為です。お天道さまが許しても、私達が許さない。私達は、思いつく限りの罵詈雑言で、しょーもない須崎を激詰めしました。「ゴミ」「アホ」「クズ」「ミジンコ以下」「ボーンヘッド」「盲腸野郎」ロープに至っては、ローキックまでしていた。あんなにぶち切れたロープを見たのは後にも先にもない。私達は、しょーもない須崎が半泣きになるまで詰めるのを止めなかった。


今私に出来ること

まあ半泣きさせたのはアレだったかなと思わないでもないですが、私は自分がやった事を後悔はしていません。だって思い出すと未だにムカムカしますし、まだ許してもいません。しょーもない須崎は、それだけの事をしでかして、然るべき制裁を受けたというだけの事。ただ、この一件でしょーもない須崎が改心して、エクセレント須崎になるという事はまったくなく、奴は最後までしょーもない須崎のままでした。須崎を変えられなかったという意味では、私達が詰めに詰めた事は無駄だったのかもしれません。
それでも私は行動を起こすべきだと考えます。ゲームに対して真摯に向き合う事が出来ない奴は、どうせ人生に対しても真摯に向き合う事が出来ないのです。しょーもなさを存分に発揮して、そこら中で周りを不愉快にしているに違いない。これ以上の被害者を出さないようにするために、出来ることはしたい。


だとすると、冒頭のDiablo3レベル30の件で私がキレた件はあながち間違った行動ではなかったのでは? Diablo3のレベル30で詰まる人とか、ゲームに対して真摯に向き合えないしょーもない須崎予備軍と言ってよいでしょう。私のした行動は、第二のしょーもない須崎の発生を未然に防ぐための、適切な行動だったのです。いや、というかむしろ手ぬるい。罵詈雑言を浴びせて、ローキックを入れて、半泣きになるまで詰めるべきだった。なんということだろう、私の心が命じるままに振る舞えば、世界を正しい方向に導く事が出来るんじゃないか。これからは、ゲームに対して真摯に向き合えない人を発見したら、即座に、罵詈雑言を浴びせて、ローキックを入れて、半泣きにさせようと思います! うおおおおおぉ、これは世直し、これは世直しなんや!