スマホ貴族

自慢みたいに聞こえるので、あまり公言してないのですが、私はスマートフォンのエリート・オブ・エリートなんです。選ばれしスマホの民であります。スマホ貴族階級の私からすると、我が物顔でスマホを使っているその辺の有象無象は、スマホのなんたるかを何もわかっていないと感じずにはいられません。彼らの能天気な顔を見ていると本当に腹が立つ。無知である上に、理解しようともしないのです。彼らにスマホブルジョアジーであるこの私の苦悩と哀しみなんてわかるはずもない……。


私が初めてスマホを手にしたのは、2005年の事です。アメリカでの初代iPhoneの発売が、2007年6月なのでそれよりも早かった。機種は、Vodafone 702NK。OSは Symbian OS でした。確かアプリストア的なものは存在しなかったような気がします(うろ覚え)。ただWEBで拾って来たソフトウェアを自由にインストール出来たので、702NKは疑いようもなくスマートフォンだったと言ってよいでしょう。とても使いやすく素敵な端末でした。なにより、ガラケーの全盛期の中にあって、どんな端末より自由だった。この成功体験が後々の私の携帯端末選びに大きな影響を与えたのは間違いないでしょう。


f:id:notwen:20180915114620j:plain Vodafone 702NK

それ以降はOSこそ様々ですが、ずーっとスマートフォンを使い続けています。Windows Mobile( 2機種)、BlackBerry、Windows Phone( 2機種)と乗り継いでまいりました。iPhone? とかAndroid? とかいう奴は使った事ありませんね。そう、私は、スマホ黎明期から14年間の長きにわたりスマホを愛用し続けているエリート・オブ・エリートであると同時に、アンチメジャーなマイナースマホ貴族でもあるのです。


スマホ貴族の苦悩と哀しみ

私は自ら望んでマイナー街道を歩んできました。その事について後悔はしていません。事実、良い思い出も多い。変な端末を持っていると話のネタとして便利だったり、電車で同じマイナー端末を持っている人を見かけると戦友と出会ったような親近感を覚えたりしたものです。ただ全てがキラキラした思いでであったかと言うとそうではありません。そこにはマイナー端末特有の苦悩と哀しみがありました。これは同じ道を歩んだものにしか理解できないことでしょう。今日はその哀しみをほんの少しだけご紹介したい。


それタッチは出来ないんです

どうにもBlackBerryの調子が悪くて、ドコモショップに持っていった時の事です。そのBlackBerryは疑いようもなくドコモで販売していた端末なのですが、ほとんど使っている人なんて居なかったんでしょうね。対応してくれたお姉さんが明らかに挙動不審になってしまいました。「BlackBerryとか言われても!」みたいな顔でもうパニック。上司らしき人に相談したり、電話をかけまくって対応方法を聞いたりと大騒ぎ。そのBlackBerryのディスプレイはタッチ非対応だったのですが、一生懸命タッチで操作しようとしてる時はどうしようかと思いました。対応してくださったお姉さん、あの時は大変ご迷惑をおかけしました。


焼肉屋さんで肉を喰らっていら

焼肉屋さんで、店員さんが何かチラシを持ちながら近づいて来た事がありました。

「すみません、ちょっとよろしいでしょうか? この店の専用アプリを今インストールして頂くと、今日のお会計が10% OFFに……」

私は「ああ、またこのパターンか……」と思いました。だって、店員さんの持つチラシにはiPhone、Androidのマークしか記載されていないのですから。Windows Mobile、BlackBerry、Window Phoneがそのリストに載ることは2億パーセントあり得ないというのがこの世界の現状なのです。こんな事が何度も続くうちに私は誰かの口から「アプリ」という単語が出るだけで、諦めの気持ちが条件反射で出てくるようになってしまいました。この時も私はすべてを諦めてこう答える他なかった。

「私のは、そういうのと違うので……」


1つ、2つ、3つ

Windows Moblieを使っていた時の事です。当時、すでにiPhoneやAndroidは存在していて、ブームになっていました。風の噂でiPhoneやAndroidにはどえらい数のアプリが存在するという事は知っていた。その上で我らがWindows Moblieのアプリストアを眺めると、アプリの数がちょっとばかし少ないような気がしないでもない。試しにアプリの数を1つ、2つと数えてみたのです。全部で30個ぐらいでした。おお、神よ。マイナーなのでアプリの数が少ないのは当然としても、手動で数えることが余裕な事に衝撃を受けました。


もうゴールしてもいいよね

そんなこんなで私もう疲れてしまいました。だって、だってしょうがないんだもの。マイクロソフトがもうWindows Phone諦めちゃったらしいし。Pokemon GO が流行った時だって私だけ波に乗れなかったし、メルカリはいまだに使った事ないし。仕方ないじゃないですか! 私は悪くない。マイノリティに厳しいこの世の中が全部悪い。私もマイナースマホ貴族の義務と責任を脱ぎ捨てて、気楽な平民になりたい……。私はよくがんばったよ。もうゴールしてもいいよね。


普通のスマホを買おう。Pokemon GOやメルカリが動く普通のスマホを。Appleは嫌いなんで、Androidにしよう。Android端末とかそれこそ星の数程あってようわからんので、適当な奴を買おう。どうせ、どれもたいして変わらないんでしょ?


普通のスマホを購入

f:id:notwen:20180915121011j:plain BlackBerry KEY2

というわけでBlackBerry KEY2を購入いたしました。これで私も自他ともに認めるスマホ平民というわけですね。感慨深い。BlackBerryって名前ですが、Androidが搭載されています。このBlackBerry KEY2 ですが、なんと、なんとPokemon GOとメルカリのアプリが動きます! すげー、Androidすげー。さらに物理キーボードがあるじゃないか。詳しくないので知らなかったのですが、最近のAndroid端末ってキーボードが付いてるんですね。私フリック入力がどうしても出来ないオールドタイプなのでとても助かります。数えてみたらキーボードの部分35キーだった。いいね! ただもっとあってもいいよ。PCと同じ87キーにしようよ。ファンクションキーとか欲しい。


Androidということは、ストアに行けば実質無限のアプリがあるという事です。なんだって出来る。うひょー、私はやるぜ、やったるぜ。「端末がパンパンになって弾け飛ぶまでインストールをやめない!」という意気込みでGoogle Playに行ったわけなんですが、Twitter、Facebook、Evernoteとかをインストールしたら満足してしまった。その辺の超有名アプリは、Windows Phoneでもあったんですが。Pokemon GO は家から出たくないので別にやりたくない、メルカリはユーザーの民度が低そうなので近寄りたくない。あれ? もう必要なアプリなくない? 一体全体みんなはどんなアプリをインストールしてるんや。