さらば愛しき艦これよ

以前に艦隊これくしょん(略称:艦これ)をやっていましたが、2年ほど前に辞めてしまいました。今日はその辞めてしまった時の事を書こうかと思います。まず最初に声を大にしてお伝えしたい事は、私は艦これを憎んではいないという事です。


「ファッキン艦これ、地獄へ落ちろ腐れ運営、もう二度とこねーよ、ぺっ、ぺっ」

みたいな事を書くつもりは毛頭ありません。もし辞めた直後にこのエントリーを書いていたのならば、少々感情的になっていた可能性はあります。しかしもう辞めてから2年も経過していますし、今の私ならば落ち着いて語れるでしょう。思い出してみて思う事は、艦これは素晴らしいゲームだったという事。私は艦これというゲームを心から愛していましたし、艦これも私を愛してくれていた。「愛していたのなら辞めなければよかったのに」とおっしゃる方も居るでしょう。それはある意味では正しい。ただ私に言わせれば、相思相愛の者同士がずっと一緒に居られると考える事はロマンチックに過ぎる。相思相愛であったとしても、距離を取る方がお互いのためになる事もあるのです。坊や、あなたが思うほど世界はシンプルじゃないのよ。


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艦これとは

艦これをご存知ない方のために、艦これがどういったゲームなのかを簡単に説明させてください。艦これは旧帝国海軍の軍艦を擬人化したブラウザで動くソーシャルゲームです。野郎は皆無で、すべて女の子に擬人化されます。軍艦は古来から船は女性に例えられて来ました。「姉妹艦」「処女航海」なんて言葉からもそれがうかがい知れます。ですから女の子へ擬人化は歴史的観点から言って正しい。戦艦、正規空母といった大型の艦種は大人の女性、駆逐艦といった小型の艦種の場合は幼い女の子になります。艦これではこれらの擬人化された艦の事を艦娘と呼びます。


プレーヤーに課せられる役割は提督となることです。艦隊を編成し、海戦へ艦娘を送り込みます。海戦を終えると修理や補給が必要になります。修理や補給には資材が必要となるため、その資材のマネージメントも提督の仕事です。海戦を終えると新しい艦娘が手に入ります。そしてまた艦隊編成 → 出撃 → 新艦娘入手 → 修理・補給 → 艦隊編成……。 極論してしまうと、これを延々と繰り返すゲームです。


大体、3ヶ月に一回ぐらいの頻度でイベントが開催され、イベント期間中は通常より難度の高い海域にチャレンジする事が可能になります。イベントをクリアすると新しく実装された艦娘が入手出来たり、強力な武装が手に入ったりします。課金要素は昨今のソーシャルゲームに比べてかなり控えめで、艦を修理するための入渠ドックの拡張(1,000円 x 2)、保有艦の最大数の拡張(10隻辺り1,000円)ぐらいしておけば、ほぼ問題なし。私の場合、2年間で課金したのは合計で2万円~3万円程度だったはず。


何が楽しかったのか

私が艦これを初めたのは、2013年7月27日。艦これのサービス開始が2013年4月23日なので結構早い。艦これブームに火がつき始めたぐらいだったと記憶しています。艦これってブームの燃え上がり方が半端じゃなかった。急に来た。ある日を境にして、私のTumblrのダッシュボードが艦娘の画像で埋め尽くされる事態となりました。さすがにこのビッグウェーブには乗っといた方がいいかもと提督生活をスタートさせた。


初めた当初は無茶苦茶楽しかったです。結構な作業ゲーなのですがとにかく楽しかった。この当時でも確か150艦ぐらいは艦娘が実装されていたと思います。つまりポケモンクラスの数なのです。しかもこの艦娘、声優をゴリゴリに使ってよく喋るし、また一艦一艦が個性にあふれていてとても魅力的なのです。最初は、駆逐艦しかいないのでどこの幼稚園だろうという雰囲気。最初に手に入れた正規空母である赤城さんはまさに神クラスの火力だった。最初の戦艦である山城さんの燃費の悪さと修理代の高さには目玉が飛び出るかと思った。日々新しい艦を我が艦隊に迎えられるのが嬉しかった。それによって艦隊が少しずつ強くなっていくのが喜びだった。


生活がどう変化したのか

艦これを初めてから私の生活は完全に艦これが中心になりました。艦これには遠征という資源を獲得するために艦隊を遠方に派遣するという作業があります。例えば艦隊を送り出して6時間経つと各種資材やアイテムが手に入るとかそんな感じ。私は、この遠征、および艦娘達のレベル上げ、クエストの消化を効率的にこなすためにスケジュールを作成して実行していました。寝る前に遠征に出す、朝起きたらメンバーを交代して再度遠征に出す、夜にはデイリークエストを消化、その後育成中の艦を率いてレベル上げ、寝る前には遠征に……。


一日あたり艦これに費やす時間はおおよそ2~3時間ぐらいだったでしょうか。結構な時間を投入していました。プレイした期間は2年でしたので、ざっくり計算でプレイ時間は2,000時間ぐらい。


どこまで到達したのか

艦これを知っている方向けに私の提督としてのステータスを書き出します。

  • 提督であった時期:2013年7月27日 ~ 2015年夏イベントで引退
  • 提督レベル:112
  • 所属サーバー:舞鶴鎮守府
  • Lv150カンスト艦:1艦(北上さん) ※ 当時の最高レベルは150だった
  • ケッコンカッコカリ:22艦
  • イベント消化状況:
    2013年夏イベントは参加するも未クリア
    それ以降の2015年夏までのイベントは全てクリア
    難易度変更可能になってからは全て甲でクリア
  • コンプ状況:
    2015年夏イベ以前に実装済みの艦は全て入手済み
    改二実装艦はすべて改二に改修済み


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結構やった方ではないかと思います。全艦持ってましたし。しかも各艦種をまんべんなくレベルを上げいましたので我が艦隊には隙は全くない状態。まあ舞鶴という古参サーバーの所属でしたし? 私に抜けない海域は無いという自信がありました。だってそうじゃないですか、100レベルオーバーは22艦も居るし、戦力として使えるLv80以上の艦なんて100艦ぐらい居るんですよ? 私が勝てないとかそれはゲームとしておかしいってもんですよ。


Xデー

あの運命の日の話をしたいです。2015年の夏イベントの時です。艦これは季節毎にイベントが開催されますが、その中でも夏のイベントが最大級です。この年もパンチが効いていて全7面におよびました。しかもその最終マップは、複雑で過去最高クラスの難易度だという噂。


ここでイベントマップの勝利条件についてお話したい。イベントマップでは、一度敵をタコ殴りにしたら終わりというわけではありません。ゲージと呼ばれる右上に表示されるメーターを何度も出撃して削る必要があります。


f:id:notwen:20180114022618p:plain ※ 画像は別の時のイベントのもの

そしてゲージを削りきった後に、敵艦隊の旗艦を撃沈すれば勝利です。ゲージを削る段階では、旗艦を撃沈までしなくても体力さえ削れば、ゲージを削る事が出来ます。最後だけは最強の敵艦である旗艦を撃沈しないといけないのです。


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私は6面までクリアしてとうとう最終海域に挑む事にしました。先程のゲージは時間と共に回復するという鬼畜な設定となっていました。ですから高橋名人に従ってゲームは1日1時間で艦これイベントをやっていたら一生クリア出来ません。明日になったらゲージが全快しているのですから。だから最終海域は一気に攻め落とさなければならないのです。

10:00 出撃せよ!

朝の10時から最終海域へのトライを開始しました。長い戦いに備え前日はぐっすり10時間ぐらい寝てやった。普段食べない朝食もしっかり食べた。水分補給のために500mlのお茶(伊右衛門)を2本用意。心なしかお肌のツヤもいい。心技体共に充実しています。今日の私に抜けない海域などはありはしない!


15:00 ゲージを削りきった

5時間ぐらいかかってゲージを削りきりました。ふー。さすが最終海域手こずらせてくれる。ただもうゲージはありませんから、後は旗艦を沈めるだけです。まあいけるでしょ。昼ごはんはまだ食べていませんが、旗艦を沈めてから食べるとしましょう。


17:00 いまだ敵旗艦沈まず

まだあわてるような時間じゃない。

ちなみにもうすでに7時間やってますが、ずっとボスと戦っているわけではありません。艦にはコンディション値というものが設定されていて、ボス戦ともなると味方艦のコンディション値を最高にしておかないと勝利の可能性が著しく下がるのです。ですから、簡単な海域に出撃してコンディション値を上げるという作業が必要になります。この事をキラ付けと言います。30~40分かけてキラ付け、ボスに挑んで5分でバキバキ、修理、キラ付け……これを延々を繰り返します。なのでキラ付けという単純作業をしている時間の方がボス戦より明らかに長い。


19:00 敵旗艦沈まず

30~40分かけてキラ付けした艦隊が速攻で大破させられるのは大変心にきます。それでも何度大破させられても立ち上がらなければならない。ここで辞めたらここまでの苦労が全て水泡に帰すのだから。私は艦これに試されている。


21:00 旗艦沈まず

この最後の旗艦を沈めるトライの事を、艦これ界隈では「ラストダンス」と呼びます。うまいこと言ったもんだ。「ラスト」とは最終海域をクリアしてハッピーエンドとなる「ラスト」なのか、それとも敵旗艦の前に屈する「ラスト」なのか。
私はまだ舞えるぞ!


22:00 沈まず

Twitterで同じ事をやっている提督の阿鼻叫喚を眺めながらのラストダンス
血を吐きながらダンスを踊っているのは、私一人じゃない


23:00 沈ま

行けるってまだ、行けるって。私達ならっ


24:00

そろそろ資材が心許なくなって来た
1ヶ月かかってコツコツと貯めた資材がどんどん溶けて行く


25:00(深夜1時)

補給・修理して出撃
補給・修理して出撃
補給・修理して出撃
……


26:00(深夜2時)

あああああ、もう少しで倒せたのに!!!!!!!
もう、もう、もう!!


27:00(深夜3時)

課金実施
キラ付けを楽にするアイテム購入


28:00(深夜4時)

資材は限界

色々な意味でそろそろ限界

次がラストチャンス

いいよーいいよー







ああああああっ、いいじゃん、いい

照月来る?

いけええええ

後、1発で勝てる!

1発っ

うおおおお

ミス

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん

私は椅子からずり落ちて仰向けにぶっ倒れました

そして転がっていたペットボトルに八つ当たりをした

このお茶野郎!

散々、ペットボトルを蹴って、殴って、チョップしてあたり散らかした

深夜4時に

はああーーー私なにやってんだろう……

寝よ


ペットボトルを用意せよ

何も食べずに18時間ぶっ続けでやったけれど勝てず、ペットボトルにあたり散らかす事態になったため、この日限りで艦これをスパッと辞めました。以上が私の艦これ引退の顛末でございます。人間ペットボトルにあたり始めたらもう駄目です。


精も根も尽き果てて辞めたのですが、2年経った今思う事はとても幸せな別れ方をしたということ。あの時ペットボトルを一回殴るたび冷静になっていくのを感じました。ペットボトルのおかげてギリギリのラインで辞める事が出来た。あれ以上1秒でも艦これをやっていたら、私は艦これを嫌いになっていたでしょうから。私は今でも艦これで出会ったキャラクター達が大好きです。


残念ながら私のような幸せな艦これとの別れ方が出来た人は少ないように思います。艦これを引退する際に怨嗟の声を残して去って行く人はとても多い。そんな声を聞くにつけ、私の胸は悲しさで締め付けられます。この人の傍らにはペットボトルがなかったのだろうか? ペットボトルがなかったから引き際に気づけなかったのではないだろうか?


今艦これを、いいえ艦これに限らず全てのソーシャルゲームをしている皆さん。ゲームをする際には必ず500ml のペットボトルを傍らに置いて欲しい。ペットボトルさえあれば、きっとあなたの大好きなゲームを大好きなままでいられるはずです。ちなみに殴り心地のよい伊右衛門がおすすめです。


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