リブログとは祈り

私は日課であるTumblrでのリブログをする前に
そっと目を閉じリブログという行為に思いを馳せます
リブログはすべてに感謝し、神と一体化する行為である「祈り」に似ている

星の数ほどのポストたちに感謝を
あまたのポスト同士の連なりに、悠久のポストの流れに感謝を
素晴らしいポストの元となった世界中のクリエイターに感謝を

流れゆくポストに審判を下すのは私
リブログする価値があるか、否か
問われているのは、ポストの善悪でもなく、客観的な価値でもない
問われているのは、私の思い
好きなのか? 嫌いなのか? 良いと思ったのか? 不快なのか? 愛しているのか?
私の判断こそが全て
ゆえにリブログをしているかぎり私は神であるといえる
私の判断に誰にも文句は言わせない

ゆっくりと目を開く
待たせてすまないポスト達よ、すぐに始めるよ
じんわりと汗ばんだ両手を開いて閉じてと繰り返す
これこそ神の手よ
感情をキーボードを叩きつける事で、神託は電子のうねりとなって駆け巡る
神の名において命ずる! リブログせよ! リブログせよ!

カチッ

カチッ

カチッ

一定のリズムでキーボードを押下する音が聞こる

カチッ

カチッ

カチッ

ポストが世界へ拡散していく音が聞こえる

カチッ

カチッ

カチッ

私が溶け出してゆく 名前は? 忘れた
年齢は? 覚えていない
性別は? それってリブログするのに関係ありますか?
出身地、学歴、職業、容姿、友達、恋人、いらない、いらない。今はいらない。
私を構成していた雑多な属性は消え、私は概念上の存在になっていく
ただ純粋にリブログするだけのなにか
世界でもっとも美しいなにか

リブログを終えると私は、神なる身から肉体を持った人間へと転生する
人となった私は、チェアをいっぱいにリクライニングさせ天井を眺める
蛍光灯がこうこうと輝いているのが目に染みる
ここにいる私は何者だろうか
つい先程まで神だったもの
神となる前の私と、はたして同一人物だろうか?
豊穣なポストの奔流を浴び、私は何かを感じ、少しずつ変化をせずにはいられない
私は毎日生まれ変わっているのだ

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