ふらいんぐうぃっちの問題点を指摘したい

魔女ー。
自然豊かで資源豊富な場所を好む彼女達。彼女たちには、
「15歳になったら一人立ちをし、家を出る。」
そんなしきたりがあるのだとか…。
そして、これは、一人前の魔女を目指すため、青森に引っ越してきた少女のお話。
ふらいんぐうぃっち公式サイトより)

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(ふらいんぐうぃっち公式サイトより)

ふらいんぐうぃっちは、青森県弘前市を舞台とした魔女の「日常」を描いた作品です。マガジンで連載しているマンガが原作です。私はマンガの方は未読なので今日はアニメの方のお話です。2016年4月から6月にかけて放映されました。

魔女ものなのですが「魔法少女まどか☆マギカ」みたいに首パーンみたいな事もなく、「リトルウィッチアカデミア」みたいなハリポタ的なファンタジー要素もありません。田舎の日常にほんのスパイス程度に魔法要素があるのみです。バトルもラスボスも無し。下手をしたら魔法要素を取り去ってしまっても物語として成立しそうなレベルです。盛り上がるようなポイントを意識して排除しているようで、ものすごいフラットなストーリー展開が特徴です。スーッと物語りが展開され通り過ぎていく。

で、このふらいんぐうぃっちなんですが多くの問題点を抱えている作品であると指摘せねばなりません。困っちゃいますね。今日は、それを一つ一つ確認していきたいと思います。

名前が良くない

「ふらいんぐうぃっち」て名前完全にダメじゃないです? 私のHDDレコーダーは新しく始まるアニメを勝手に録画する機能があります。自動で録画したアニメの1話を観て継続視聴するかどうかを判断するのですが「ふらいんぐうぃっち」はうっかり視聴する前にタイトルで切りそうになりました。あぶなっ!

だって、英語の「Flying witch」をカタカナではなく、わざわざひらがなで書いているのがあざとい。90年代の香りがします。これは完全に機会損失ですよ。タイトルで切った人が大量にいるに違いない。この高クオリティ作品に触れる機会を奪われた人の事を思うと同情の念を禁じえません。

大体、Flyingとか言っているわりにはたいして空を飛ばないわけで、そんな事に言及しなくてもいいのです。魔女というエッセンスだって極論すれば特筆する必要なし。なので「青森より愛をこめて」とか「拝啓、青森県弘前市より」とかでよかったのではないでしょうか。

放映時間が短い

普通のアニメなので、放映時間はCMを除くと23分ぐらいはあるはずなのですが、5分しかないのです。ちゃんと23分間放映してよ! 何を言っているのかコイツはと思われるかもしれませんが本当なのです。観て頂ければわかります。本当に体感で5分ぐらいに感じるのです。毎週、毎週5分ぐらいしか経っていないはずなのに突然エンディングが流れ始めて驚愕していました。ニコニコ動画で放映している時のコメントでも同様の指摘があったため私だけの現象ではなさそうです。

原因としてすぐ思いつくのは、「楽しい時間はすぐに過ぎる」というものでしょうか。わかる、それわかるわ。ふらいんぐうぃっちを視聴している間って優しい時間が世界を満たしてる感じがしますから。でもそれだけが原因だろうか? ふらいんぐうぃっちの体感での驚異的な短さはそれだけで説明できるとはとうてい思えないのです。私は情報量の少なさに原因があるという仮説を提唱したい。

一般的なアニメとくらべて、ふらいんぐうぃっちはスペクタクルな出来事がほぼ発生しません。ですから一般的な作品がストーリーや状況の説明のために 100 必要だとすると、ふらいんぐうぃっちは 70 程度しか必要としないのです。残りの 30 は別の事に使える。30 の分だけふらいんぐうぃっちは情報量が少なく、なんというか薄いのです。

別のことに使っている例として第9話にうってつけのシーンがありました。犬養さんに占いをしてもらっているシーンで、千夏ちゃんが占いをするために女の子座りから立て膝の姿勢になるシーンがあります。このシーンをなんと、下半身をアップにして

「女の子座り」→「両足をお尻の下に入れる」→「膝を伸ばす」

という三段階を描写したのです。↓ 言葉で説明し難いので画像をみてください。

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(ふらいんぐうぃっち第9話より)

えーっ、そんなところに尺を使っていいの? すげえ。だって、こんな事しなくてもパッとカメラを切り替えて、もうその時は立て膝になっているようにすればストーリー進行上は問題がないじゃないですか。それを、わざわざ自然な体重移動を行う姿勢変更を描写したのです。こういったシーンを挿入する事による情報量の薄さが、体感での視聴時間の短さにつながっていると私は確信しています。

ただ私が言いたいことは、こういった無駄なシーンを省いて情報量を多くしろと言っているわけではないのです。というかこういった無駄なシーンこそが、ふらいんぐうぃっちの優しくて幸せな空気感の根幹だと思うからです。それをすてるなんてとんでもない!

そうではなくて放映時間の方を調整すればいいのです。実際の放映時間は23分、体感は5分です。実際の時間と体感時間に4.6倍の開きがあります。ですから実際の放映時間の方を4.6倍にすればいいのです。

23 x 4.6 = 105.8

つまり、106分放映する事でちょうど体感では23分となります。これによって「5分しか放映していないじゃないか」という苦情も無くなることでしょう。制作陣の皆様、もし二期があるのでしたら106分放映をご検討ください、

嘘をついている

この作品は嘘ばっかなのです! なんぼなんでもひどい。私はガチ田舎で生活したことが無いので想像で語りますが、こんな理想的な田舎はこの地球上のどこにも存在しませんよ。現実はもっとギスギスしててぐちゃぐちゃしてドロドロしているのです。こんなには美しくは断じて無い。こんな田舎なら私も住んでみたい。

キャラクターも嘘ばっか。全キャラクター気持ちのいい奴らしか出てきません。現実の人間は、もっとギスギスしててぐちゃぐちゃしてドロドロしているのです。でもそれに、どこさ問題が? 何が不満だてか?(がんばって津軽弁風にしてみた)。私すっごい小物の悪役とか、胸くそ悪いキャラクターが出て来る作品って大嫌いなのです。現実にはそんなやからは大量にいるわけで、なんでそれを物語の中にも持ち込むのかな? 理解に苦しみます。

苦しい

数々の問題点のせいで奇跡的なまでの心地よい世界が出来ています。これは、情熱的な燃え上がるような恋ではなく、「ただ貴方にはずっと傍らにいて欲しい」そう願うような恋に似ている。しかし君は去りゆく(体感5分なので)。あまりにも優しい世界が心地よくて目覚めた時が苦しい。切なくて苦しい。こんな時間がこのままずっと続けばいいのに。私、ふらいんぐうぃっちの二期を希望します。1話あたり106分でお願いします。