ジレンマ

私は、紹介文にの中で決して使うまいと心に決めている単語がいくつかあります。例えば「確信犯」、例えば「役不足」、例えば「気の置けない」。確信犯とかフォルテシモ最悪ですね。でも、あまりに一般的な単語なので気を抜いてると使ってしまいそうになるから恐ろしい。これらの単語の共通項は、「誤用」。本来の意味と違った意味で通ってしまっている単語です。

確信犯の場合、本来の意味は「道徳的・宗教的・政治的な信念に基づき、自らの行為を正しいと信じてなされる犯罪。」(出典:大辞林 第二版)これが、なにをどうしたのか「悪いと知りながら意図的または作為的に犯す悪徳(ないし犯罪)」(出典:Wikipedia)といった間違った意味で通ってしまっています。確信犯の場合、私の知る限り本来の意味で使っている人は見たことがなく、100%間違った意味で使われています。文章を書く側からするとこれは困った問題です。まったく同じ文章でも人によっては違う取り方をする可能性があるからです。例えば、私が露出狂だとしますね。それで、貴方が私を指差して「貴方は確信犯だ」と言ったとします。一般的な間違った方の意味で解釈すると私は、悪いと知りながらその快感を得るために日々露出を繰り返している変態という事になります。しかし、正しい意味で解釈すると私は、この大量消費社会に警鐘を鳴らすために、人類の原点回帰を求めて日々露出を繰り返す革命の徒になってしまいます。一言一句同じなのに、こうも違う意味にとられる可能性があるために私は使用を避けているわけです。

いや、ごめんなさい、これは建前です。違う意味にとられるのが怖いってのも無くは無いけど本当は、( ´,_ゝ`)プッって思われるのがたまらなく嫌だから。私は、言葉という物は日々変化していくものであって、確信犯もいつかは、間違った方が正しい意味になっていくと思います。言葉なんてそんなものです。ただ、問題は変化しきっていないって事です。今、間違った意味で確信犯を使うと、絶対にしたり顔で「こいつ間違って使ってやがる。アホすぎる」とか言い出す奴が絶対にいる。でも、正しい意味で使うと「なんだ、これ意味分からん。アホすぎる」ってなってしまう。どっちにしろアホになってしまう!だから使わないの。30年ぐらいたって、本来の意味が雲散霧消するまで絶対使わない。でも、困った事に間違った意の確信犯にかわる、適当な単語が無いんですよね。故意犯って単語があるらしいのですが、そんな誰も知らないのを使ってもなあ。なので私の文章では「悪いと知りながら意図的または作為的に犯す悪徳」を簡潔に表現出来ません。間違った意の確信犯は、かなり便利な言葉で活躍できる場も多いだけに、本当に不便です。あーもう、本当の意味なんて無くてよかったのに、どうせ誰も使ってないし。