フィクションには説明する義務がある

アニメでも、小説でもマンガでもなんでもすべてのフィクション作品に関してなのですが、作者には説明する義務があると私は常々考えています。その世界をみんなが違和感無く受け入れられるようにちゃんと説明して欲しい。説明しない作者は職務怠慢として非難していい。

具体的にどういった「説明」を私が希望しているかを、カテゴリに分けて説明させてください。


必然性の説明


北朝鮮が2017年XX月XX日に日本海に向けてミサイルを発射しました

例えば上記のようなケース。現実のニュースだったらこれだけで何の問題もないですね。北朝鮮は往々にしてミサイルを打つものですし、事実として打ったのでしょう。でもフィクションの場合はこれだけでは説明不足なのです。


ある日ミサイルが飛来した……それはそれとして貴志と幸子の恋愛ラブコメ!

ほらー言わんこっちゃない、ダメじゃないですか。貴志と幸子の恋愛にミサイルが何の関係もない。ミサイルを作中に登場させるならば、なぜ登場させたかの必然性を説明しなければなりません。例えば、幸子が実は某国のスパイでミサイルは幸子を狙ったものだったがうっかり外れた。貴志は愛ゆえに北朝鮮の第一書記を除かなければならぬと決意した。とかならばミサイル発射がストーリーと密接に関わってくるので必然性に納得がいく。

これは結構見かけますね。「謎の占い師が意味深な事言ったけど、結局なんも関係なかったな」とか「2ページも使ってキャラクターが短気なエピソードが挿入されたのに、その後キレるシーンが一度もなかったな」などなど。おいおい使うつもりだった伏線や設定を結局回収できなかったというケースが多い気がする。ですので同情の余地はありますが、褒められた事ではないです。フィクションにおいて無駄なことに使っている紙幅はどこにもないのです。


動機の説明

キャラクターがどうしてその行動を取ったかを説明して欲しい。キャラクターが突然パンチしたとします。そこで「ひどいことを言われた」「短気である事を示すエピソードがあった」という風に状況が説明されていたならば、私は「このキャラクターは沸点低いからこんな事言われたら殴るよねー」と共感出来るのです。説明が足りていないと、どうして殴ったのかが理解できずイラッとします。

最近観たアニメ映画でこんな事がありました。主人公がやんごとなき理由で変電所の爆破を友達2人に持ちかけるシーン。私は


いやいやいや、これじゃ説得できないでしょ。誰がこんな意味不明な妄言信じてテロ行為に加担するの? 主人公を精神科医にみせるのこそ真の友情だな

とか思いながら観てたら、コロっと説得されて手際よく3人で変電所を爆破していた! ふぁあああああ!? え? え? なんで? どうして未来を投げ捨てるような行為を? テロリスト一味になってしまった友達2人がどういった罪に問われるかばかり考えていたので、それ以降の内容が頭に入って来なかった。


主犯格は明らかに主人公だからその点では減刑が期待できる。というか全員未成年だし人死にが出ない爆破テロなら意外と早く出所出来るのか?


理由の説明

動機と近い話なのですが、なんでそうなったのかを説明して欲しい。特に恋に落ちた理由を。実は私、少女マンガがちょっと苦手なのですが、この辺が影響しているような。少女マンガって恋に落ちた理由をぶっ飛ばしているものが多い気がして……。


なになにイケメンの先輩が居て。そいつが嫌な事ばかり言うものだから主人公は嫌っているわけね。なるほどー。……うぇええええ!? 急にベッドインしたし! なんで? 君、嫌いだって言うてたじゃないですか。いやまあ、イケメンだけどさぁ……

ちょっとあなた! あなた恋愛ものでしょ? いわゆるボーイミーツガールでしょ? だったらちゃんとボーイがミーツしてガールして下さいよ……。こっちは友達から、ちょっと気になる奴から、嫌な奴からの恋への変化をみにきているのです。「捨て猫を拾ってた」でも「雨の日に傘を貸してくれた」でもなんでもいいのですから理由の説明は必須です。ベタだっていいじゃないか。「ビビッときた」の一言で済ませていいのは現実だけ。

ただ、何事にも例外が存在する事には注意が必要です。恋に落ちた説明が不要なケースも存在します。例えばボーイとガールの関係が「幼なじみ」の場合です。「幼なじみ」というパワーワードさえ属性として付与してあればすべて解決。すくなくとも10年ぐらいお互いに思い出を積み重ねてきた事が用意に想像できます。だから南がタっちゃんを好きな理由は説明する必要がないのです。


説明しないこと

ここまで口を酸っぱくして説明しろ、説明しろと主張して来ましたが、説明するべきでない事も当然あります。ミサイルが飛んでいるシーンがあったとして、そのミサイルがどう推進されているかといった説明は不要です。「水素と酸素を燃焼室で燃焼させ、高温の燃焼ガスを……」とか言われても「お、おおぅ」としか言いようがありません。いいんですよ、ミサイルは飛ぶ事をみんな知っているから説明しなくても。

何を説明して何を説明すべきでないかの判断って地味に難しい気がする。お互いに共通認識があるって前提ですから。セミの声がしていると、日本人なら夏なんだなと理解してくれますが、セミの居ない国の人だとこのノイズはなんだ? とかなるらしい。

さらに言うと、わかっちゃいるけど説明するのは勘弁して欲しい枠もあると思う。ガンダムでビームやら爆発やらの音がしているのはこの案件。作っている側も宇宙空間には空気が無く音がしないのは百も承知のはずです。でもしょうがないじゃない! 無音の宇宙戦とか絶対盛り上がらんし。日本人は宇宙戦艦ヤマトやらガンダムやらでよく訓練されているので、宇宙で音がしても誰も気にしないので大丈夫。バシューンッやらドカーンッやら音出して行きましょう。

まとめ

長々と書いてしまいましたが、要は違和感なくストーリーを楽しみたいというだけです。必要な事を必要なタイミングで説明して欲しい。余計なところで「あれ?」と思ってしまうと集中出来なくなりますから。ぜひイケメン以外の説明をよろしくお願いいたします。