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読みやすい名前にしてください

舞城王太郎氏の「煙か土か食い物」という小説を読んだのですが、久しぶりに衝撃を受けた。なんだこれ。なんと言いますか脳みそから出てきた言葉をなんのフィルターもかけずにそのまま書き出したような文章なんです。感情やらリビドーやらいろんな物がそのまま出てる。それが、極端に改行を入れない文体で書かれているのです。会話文の前後にも改行を入れない。一ページ丸々改行なしなんてこともままある。息をつく暇もなく単語がダーっと押し寄せてくる。こんなやり方もありだったのか。好き嫌いは別れそうな文体だけれども、作者さんはそんな些末な事気にしていないに違いない。

文体以上にバーンッと来たのがキャラクターの名前です。主人公を含めた4兄弟が物語の主軸なのですが、その名前が凄い。長男から順番に一郎、二郎、三郎、四郎。大変に投げやりな名前ですが、これほど良い名前もない。読み方に迷う事も、どいつが長男だっけと悩む事もありません。大体私は、読み方に苦労する名前って大嫌いなのです。映像作品なら登場人物が発音してくれるからいいものの、小説で難しい名前はダメでしょう。だって読者が毎回読む必要があるのですから。ルビなんて普通最初しか振られないので「あれ、この人の名前なんて読むんだっけ?」と前のページに戻る不毛さといったらない。読書のテンポを乱すことはなはだしい。例えば影縫 余弦(かげぬい よづる)とか御冷 ミァハ(みひえ みぁは)とか嫌い。そういった場合、私は間違っていると知りながら勝手に自分の読みやすい名前に読み替えることにしています。前者の場合は「よげん」後者の場合は「おひや」といった風に。これ私悪くないよ。読みにくい名前にした方が悪いの。正しく読んで欲しいなら全ページにルビを振るか読みやすい名前にすればいい。

「煙か土か食い物」の一郎~四郎は、これだけ雑な名前なのにそれぞれの顔をイメージ出来るぐらいキャラが立っていました。ジョジョの荒木飛呂彦先生は「マンガを作る上で一番大切なのはキャラ作り。いいキャラクターが出ていれば極端な話、ストーリーもいらない」というような事をおっしゃったとか。名前もこれと同じに違いない。いいキャラクターが出ていれば極端な話、名前なんてなんでもいい。別に太郎でもいい。